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片山財務相「暗号資産は金融インフラ」発言の全体像|55%→20%税率・金商法移行・新局設置の3本柱

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片山財務相「暗号資産は金融インフラ」発言の全体像|55%→20%税率・金商法移行・新局設置の3本柱
この記事のポイント
  • 2026年4月10日、金商法改正案が閣議決定・国会提出。暗号資産を資金決済法から金商法の対象に移行し、株式と同じ法的枠組みに組み込む
  • 政策転換の4本柱:分離課税(55%→20.315%)、金商法移行、金融庁に暗号資産専門の新局設置、ステーブルコイン規制整備
  • 税率変更のインパクトは大きい。年間1,000万円の利益なら現行300万〜450万円の税金が約203万円に。損失繰越3年間も新設
  • 施行は2028年1月の見込み。金商法改正が予定通り進めば分離課税が動き出す。ホルダーは保有銘柄の棚卸しと取引履歴の整理を今から

日本政府が暗号資産を「金融商品」として制度に組み込む動きが、方針発表から確定事実に変わりました。2026年4月10日、金融庁は「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し、同日国会に提出しました。2026年4月に片山さつき財務相が示した「金融インフラ」という方向性が、具体的な改正法案のかたちで前に動いた形です。

ぼくがこのニュースを見て最初に思ったのは、「やっと、か」でした。暗号資産を持っている側からすると、株式投資は20%で暗号資産は最大55%という税率の差はずっと不合理に感じていたので、方向性としては歓迎しています。同時に、施行の見込みが2028年ということで、「でも、まだあと2年あるのか」という長さの感覚もセットでやってきました。

それでも、これを機に国内で暗号資産を使う人が増えていくといいな、というのが正直な気持ちです。金融インフラとして扱われるというのは、最終的には「普通の金融商品として日常的に使われる」という未来の話です。歓迎する理由はそこにあります。

ただし「歓迎する」と「すぐに恩恵がある」は別の話です。施行は2028年の見込み。それまでに何が変わり、何が変わらないのかを、4月10日の閣議決定を踏まえて改めて整理します。

政策転換の背景 — なぜ今なのか

暗号資産を金融商品として扱う議論は以前からありましたが、今回動いた直接的な理由は2つあります。

Web3企業の海外流出。最大55%の課税を嫌って、暗号資産関連の企業や人材がシンガポール・ドバイ・スイスに流出する動きが加速していました。国内の暗号資産業界からも繰り返し税制改正の要望が出ていました。

国際的な規制整備の進展。EUではMiCA(暗号資産市場規制法)が施行され、米国でもSECの規制方針が変化しています。日本だけ「雑所得で最大55%」を維持し続けるのは、国際的にも異例な状況でした。

出典:金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」(2026年4月10日閣議決定・国会提出)、CoinChoice「【速報】片山財務相『仮想通貨は金融インフラ』政策転換の全貌」(2026年4月7日)、Bitcoin.com News「日本の暗号資産課税をめぐる勝利」(2026年4月7日)

4月10日 閣議決定のポイント

4月10日に閣議決定された「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」の骨子は、次の4点です。

項目内容
法案名金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案
閣議決定2026年4月10日
国会提出2026年4月10日(同日提出)
成立見込み2026年通常国会中の成立を目指す
施行見込み成立から1年程度の準備期間を経て、2027年中に施行の見通し

法案のポイントは、暗号資産を「資金決済法の対象(暗号資産)」から「金商法の対象(金融商品)」に位置づけ直すことです。単なる呼び方の変更ではなく、規制の枠組み全体が株式や投資信託と同じ土俵に乗ることを意味します。

具体的に実務が変わるポイントは次の3つです。

  1. インサイダー取引規制・開示義務の導入:取引所や発行体に、未公開情報の管理や適切な情報開示が義務づけられる
  2. 投資家保護ルールの強化:取引所の財務基盤・顧客資産の分別管理・説明義務が金商法水準に引き上げられる
  3. 「特定暗号資産」の枠組み整備:分離課税(2028年施行予定)の対象となる「特定暗号資産」の指定根拠が、この金商法改正によって整備される

税制側の分離課税施行(2028年1月1日)は、この金商法改正の成立・施行が前提になっています。つまり、金商法改正が予定通り進めば、2028年以降に分離課税が動き出すという順序です。金商法改正と税制改正は、同じひとつのゴールに向かう2本の柱という関係です。

経路選択の詳細や、特定暗号資産とそれ以外の線引きは暗号資産分離課税『一律20%は誤解』— 経路選択と特定暗号資産の実態にまとめています。

政策転換の4本柱

今回の政策転換は、税率だけの話ではありません。4つの柱で構成されています。

1. 分離課税への移行(55% → 20.315%)

最も注目されている変更です。現行の総合課税(雑所得、最大55%)から、申告分離課税(一律20.315%)に移行します。

株式投資と同じ税率になるだけでなく、3年間の損失繰越控除も新設されます。暗号資産で損失が出た年の赤字を、翌年以降の利益と相殺できるようになります。

ただし、対象は金商法に基づく「特定暗号資産」に限定されます。すべてのトークンが自動的に20%になるわけではありません。

税率・対象条件の詳細は暗号資産の分離課税はいつから?にまとめています。

2. 金商法への移行

暗号資産が、資金決済法から金融商品取引法(金商法)の規制対象に移行します。

これは「暗号資産を金融商品として正式に認める」ことを意味します。株式や投資信託と同じ法的枠組みに入ることで、投資家保護のルールが強化される一方、取引所への規制も厳しくなります。

具体的には、インサイダー取引規制や開示義務が適用される見込みです。今まで「法律のグレーゾーン」だった部分が明確になります。

3. 金融庁に暗号資産専門の新局設置

金融庁内に暗号資産・デジタル資産を専門に扱う新しい部署が設置されます。

これまで暗号資産の監督は金融庁の既存部署が兼務していましたが、専門組織を設けることで、規制の迅速化と専門性の向上が期待されています。

4. ステーブルコイン規制の整備

法定通貨と連動するステーブルコイン(USDT、USDCなど)に関する規制も整備されます。発行体への規制要件や、決済手段としての利用ルールが明確化される見通しです。

日本ではすでに2023年の改正資金決済法でステーブルコインの定義が法律上明確化されていますが、実際の発行・流通のルールはまだ整備途上です。

2028年までのスケジュール

時期内容
2025年12月令和8年度税制改正大綱に分離課税の方針を明記
2026年3月補正予算案可決(暗号資産税制改正を維持)
2026年4月上旬片山財務相が「金融インフラ」発言、金商法移行方針を明言
2026年4月10日金商法改正案を閣議決定・同日国会提出
2026年通常国会改正案の審議・成立を目指す
2027年中(見込み)改正金商法の施行
2028年1月1日〜分離課税(20.315%)の適用開始

施行は「改正金商法が施行された年の翌年1月1日」からなので、国会審議の進行次第では前後する可能性があります。ただし4月10日の閣議決定によって、「方針」だった工程が「改正法案の審議入り」という具体段階に進んだのは大きな前進です。

投資家にとって何が変わるか

税率が下がる。これが最大の変化です。年間1,000万円の利益があった場合、現行制度では所得額によって300万〜450万円の税金が、分離課税では約203万円に。差額は100万〜250万円です。

損失繰越ができるようになる。現行制度では暗号資産の損失は翌年に持ち越せません。2028年以降は、損失を3年間繰り越して翌年以降の利益と相殺できます。暴落年の税負担が軽くなります。

取引所への規制が厳しくなる。金商法移行に伴い、取引所の開示義務やコンプライアンス要件が強化されます。投資家保護は手厚くなりますが、小規模な取引所は対応コストが重くなり、サービス終了や統合が進む可能性があります。

規制強化の現状については暗号資産の規制2026年まとめも参照してください。

2028年まで利確を待つべきか

ぼくの立場を先に言うと、「いつ売るべきか」は個人の状況次第なのでここでは判断しません。ぼく自身もまだ利確していないので、この問いは自分ごとでもあります。

ただし、判断材料として整理しておくべきことはあります。

2027年以前に利確した場合、現行の総合課税(最大55%)が適用されます。利益が大きいほど税率が跳ね上がります。

2028年以降に利確した場合、分離課税(20.315%)が適用される見込みです。ただし「特定暗号資産」に該当するトークンのみ。

利確のタイミングで迷っている場合は、暗号資産の確定申告に詳しい専門家に相談するのが確実です。クリプト税理士のようなオンライン型の税務サービスでは、暗号資産の売却タイミングと税負担のシミュレーションについて相談できます。

確定申告の手続き自体については暗号資産の確定申告ガイドで手順をまとめています。

2年間をどう過ごすか — 「ガチホ+2028年以降」派の立場から

「金融インフラ」という言葉が示す方向性は明確です。暗号資産を投機ではなく、株式や債券と同じ金融の基盤として制度に組み込む。これが4月10日の閣議決定で、方針から法案のかたちに変わりました。

ぼくとしては、税率の引き下げ自体は歓迎しています。ただ、金商法移行に伴う規制強化がどこまで進むかは未知数です。個人投資家にとっての使い勝手が良くなるのか、それとも規制で参入障壁が上がるのか。2028年までの2年間で見えてくると思います。

この2年間のぼくのスタンスは、「ガチホ継続、売るなら2028年以降」です。相場観としては、2年後に仮想通貨市場が右肩上がりになっていることを期待しています。そのときに分離課税(20.315%)が使えるなら、待った分のリターンは税率面でも相場面でもセットで受け取れる可能性があります。逆に下がっていたとしても、そのときは損失繰越のルートが新設される見込みなので、塩漬けの扱い方にも別の選択肢が生まれます。

ホルダーが次にやるべきことは3つだけです。

  1. 保有銘柄の棚卸し:自分の持っている銘柄が特定暗号資産に該当する可能性が高いのか、非特定側になりそうなのかを見極めておく
  2. 取引履歴の自動同期:2028年に経路選択を判断するタイミングで、取得価額と損益がすぐ出せる状態にしておく
  3. 税制・法制度ニュースの継続ウォッチ:国会審議の進展と金融庁の発表をフォロー

はっきり言えることは一つ。どちらに転んでも、取引記録を正確に残しておくことは変わりません。記録の残し方は利確しない派のための暗号資産管理ガイドにまとめています。

なお、2026年4月17日のCoinDeskスクープで政界関係者が「2028年1月1日からとなる」と証言し、2027年中の前倒し観測はほぼ消えました。JVCEA代表・小田玄紀氏のシンクタンク設立と合わせた移行準備の最新動向は暗号資産の分離課税、2028年1月施行が『順序どおり』で濃厚──CoinDeskスクープとJVCEA小田氏の動きから読む移行の現在地で整理しています。

更新履歴
2026-04-12 / 4月10日の金商法改正案閣議決定・国会提出の確定事実を反映。冒頭リード・出典・タイムライン・結論セクションを更新し、「4月10日 閣議決定のポイント」セクションを新設。
2026-04-10 / 初版公開。片山財務相発言ベースで「金融インフラ」政策転換の全体像を解説。

エム

暗号資産投資の実体験をベースに、確定申告・税金・損益計算の実務を解説しています。

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