暗号資産の分離課税はいつから?税率・対象・スケジュールを解説【2028年施行】
暗号資産の分離課税は、2028年1月1日以降の取引から適用される見込みです。税率は一律20.315%。現行の総合課税(最大55%)から大幅に軽減されます。
2025年12月の令和8年度税制改正大綱で正式に決定されました。ただし、すべての暗号資産が対象ではなく、「特定暗号資産」に限定される点に注意が必要です。
この記事では、分離課税の施行スケジュール・税率・対象条件・損失繰越控除まで、公式ソースに基づいて整理しました。
分離課税の施行はいつから?
2028年1月1日以降の取引分から適用される見込みです。
税制改正大綱の原文には、こう書かれています。
金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後
つまり、以下の流れを経て施行されます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年12月 | 令和8年度税制改正大綱で正式決定 |
| 2026年通常国会 | 金融商品取引法の改正案を提出・審議 |
| 2027年(予定) | 金商法改正の施行 |
| 2028年1月〜 | 分離課税の適用開始 |
金商法改正の成立・施行が前提のため、国会審議の進行次第では遅延の可能性もゼロではありません。
税率はどう変わるのか?
現行の最大55%から、一律20.315%に軽減されます。
| 項目 | 現行(2026年時点) | 改正後(2028年〜) |
|---|---|---|
| 所得区分 | 雑所得(総合課税) | 譲渡所得等(申告分離課税) |
| 税率 | 最大55%(所得税45%+住民税10%) | 一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%) |
| 損益通算 | 雑所得内のみ | 暗号資産グループ内で通算可能 |
| 損失繰越 | 不可 | 3年間の繰越控除が可能 |
20.315%という税率は、株式やFXの譲渡益と同じ水準です。暗号資産の税制がようやく他の金融商品と同等の扱いになります。
対象となる「特定暗号資産」とは?
すべての暗号資産が分離課税の対象になるわけではありません。
分離課税が適用されるのは、金融商品取引業者として登録された暗号資産取引所が取り扱う暗号資産(=「特定暗号資産」)に限られます。
対象となる取引
- 国内登録取引所での現物取引
- 国内登録取引所でのデリバティブ(先物・オプション)取引
- 暗号資産ETFからの所得
対象外(引き続き総合課税)
- 海外取引所での取引
- DEX(分散型取引所)での取引
- 個人間取引(ウォレット間の直接送金など)
- 国内取引所が取り扱っていない銘柄の取引
正直に言うと、海外取引所で取引していた経験がある身としては、この制限はかなり重要です。国内取引所を使っていない場合は、引き続き最大55%の総合課税が適用されることになります。
3年間の損失繰越控除とは?
暗号資産の取引で損失が出た場合、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越せるようになります。
現行制度では、暗号資産で大きな損失が出ても翌年以降に繰り越すことはできません。改正後は、株式の譲渡損失と同じように、将来の利益から過去の損失を差し引けるようになります。
注意点
- 確定申告が必要(損失が出た年も申告しないと繰越できない)
- 損益通算は暗号資産グループ内に限定(上場株式等との通算は不可)
- 制度移行前の損失は繰り越せない(2027年以前の確定済み損失や含み損は対象外)
ここまでの経緯
暗号資産の分離課税は、業界が何年も要望し続けてきた結果です。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2022年7月 | JCBA・JVCEA、税制改正要望で分離課税20%を要望 |
| 2023年度税制改正 | 自己発行暗号資産の期末時価評価課税の一部除外が実現 |
| 2024年度税制改正 | 他社発行暗号資産の期末時価評価課税除外が拡大 |
| 2024年12月 | 令和7年度税制改正大綱で「課税見直しの方向性」が言及 |
| 2025年6月 | 金融庁、金融審議会に暗号資産制度の検討を諮問 |
| 2025年8月 | 金融庁、令和8年度税制改正要望を提出 |
| 2025年12月10日 | 金融審議会WGが最終報告書を公表(資金決済法→金商法への移行を決定) |
| 2025年12月19日 | 与党税制改正大綱で分離課税を正式明記 |
| 2025年12月26日 | 閣議決定 |
出典:JVCEA・JCBA 税制改正要望書 / 金融審議会 暗号資産制度WG 報告書
まだ明確でないこと
分離課税の大枠は決まりましたが、まだ確定していない部分もあります。
- ステーキング・レンディング報酬の扱い: 大綱で明示的にカバーされていない
- 暗号資産同士の交換時の課税タイミング: 現行では交換時点で課税だが、改正後の扱いが不明瞭
- 「特定暗号資産」の具体的な銘柄リスト: 金商法施行後に公表される見込み
- 取引報告書の具体的な書式: 取引業者が税務署に提出する報告書の詳細
これらの詳細は、金商法改正案の国会提出(2026年通常国会)の段階で明らかになっていくはずです。
自分の場合いくら変わるのか気になる方は、分離課税シミュレーターで現行制度と新制度の税額を比較できます。
まとめ:2028年に向けて今からできること
| やること | 理由 |
|---|---|
| 国内取引所に口座を持っておく | 分離課税は国内登録取引所の取引が対象 |
| 2027年以前の損益を整理しておく | 制度移行前の損失は繰り越せない |
| 海外取引所の資産がある場合は移管を検討 | 海外取引所は引き続き総合課税(最大55%) |
| 確定申告の習慣をつけておく | 損失繰越には毎年の申告が必要 |
この記事で引用したデータの出典:
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱(全文)」(2025年12月26日 閣議決定)
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」
- 金融庁「令和8年度税制改正について」
- 金融庁「暗号資産制度に関するワーキング・グループ 報告書」(2025年12月10日)
- JVCEA・JCBA「2025年度税制改正要望書」
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暗号資産投資の実体験をベースに、確定申告・税金・損益計算の実務を解説しています。