ango.day 暗号資産のお金まわり実務ガイド

暗号資産の確定申告の基礎|計算方法・必要書類・提出期限

税金・確定申告 |
シェア
この記事のポイント
  • 暗号資産の確定申告が必要になるのは売却・交換・決済・ステーキング報酬など「利益が実現」したとき。保有しているだけなら課税されない
  • 給与所得者で暗号資産の年間利益20万円以下なら所得税の申告不要。ただし住民税は別途申告が必要な場合がある
  • 取得原価の計算は「総平均法」が原則。損益計算ツール(Gtax・CryptoLinC等)の活用が実務上の標準
  • 提出期限は翌年3月15日。国税庁は暗号資産の申告漏れを重点チェックしており、2024年は156億円の申告漏れが確認されている

暗号資産で利益が出た場合、原則として確定申告が必要です。給与所得者でも、暗号資産の年間利益が20万円を超えると申告義務が生じます。

この記事では「どんな場合に申告が必要か」「何を準備すればいいか」「提出期限はいつか」を実務的に整理します。


確定申告が必要になるのはどんなとき?

暗号資産の利益が「実現」したタイミングで課税されます。

「保有しているだけ」では課税されません。以下の行為が利益の実現に該当します。

課税されるケース内容
暗号資産を売却した円に換金した時点で利益確定
暗号資産で商品・サービスを購入した購入時の時価と取得価額の差が利益
暗号資産同士を交換したBTC→ETH の交換も課税対象
マイニング報酬を得た受取時の時価が収入
ステーキング報酬を得た受取時の時価が収入

ぼく自身は「利確していない」状態が続いているので確定申告は未経験ですが、フリーランス時代の青色申告経験から、税制度の構造は理解しています。「保有しているだけなら申告不要」というのは正確で、問題は利確した時点からの計算です。


申告不要の条件(要確認)

以下の条件をすべて満たす場合は、確定申告が不要になります。

  • 給与所得者(会社員)
  • 暗号資産の年間利益が 20万円以下
  • 他に副業収入などがない

ただし、この「20万円以下不要」のルールは所得税の話です。住民税については別途申告が必要なケースがあります。また、医療費控除を申告する場合など、確定申告書を提出する場合は20万円以下でも記載が必要です。


所得の種類と税率

現行制度では、暗号資産の利益は「雑所得」として総合課税の対象です。

所得区分税率
雑所得(現行)5%〜45%(総合課税、住民税10%を加算)
株式譲渡益20.315%(分離課税・一律)

給与所得と合算して課税されるため、年収が高い人ほど税負担が重くなります。最高税率だと合計55%に達します。

この税制は現在改正が議論されており、分離課税への移行スケジュールについては暗号資産の分離課税はいつから?改正スケジュールまとめを参照してください。


損益計算の方法

暗号資産の取得原価の計算方法は「総平均法」が原則です。

詳しくは暗号資産の損益計算の方法|総平均法と移動平均法、どちらが有利かで解説していますが、基本的な流れはこうです。

  1. その年に「売った」暗号資産の収入金額を集計
  2. 売った分の取得原価を計算(総平均法 or 移動平均法)
  3. 収入 − 取得原価 − 手数料 = 所得金額

複数の取引所を使っている場合や、暗号資産同士の交換が多い場合は、計算が相当複雑になります。GTaxやCryptoLinCなどの損益計算ツールを使うのが現実的です。


必要書類

確定申告に必要な書類は以下の通りです。

書類入手方法
取引履歴(全取引所分)各取引所の管理画面からCSVで出力
損益計算書損益計算ツールで出力 or 自分で計算
マイナンバーカード or 通知カード手元にあるもの
源泉徴収票(給与所得者の場合)勤務先から発行

取引履歴は古い年度のものでも保管義務があります(法定保存期間は原則7年)。定期的に各取引所からダウンロードしておくのが無難です。


提出期限

確定申告の提出期限は翌年3月15日です。

対象年申告期間
2025年(令和7年)分2026年2月16日〜3月15日
2026年(令和8年)分2027年2月16日〜3月15日

期限を過ぎると無申告加算税(最大20%)と延滞税が発生します。「少額だから大丈夫」は通じません。国税庁は暗号資産の申告漏れを重点的にチェックしており、2024年は156億円の申告漏れが確認されています。詳細は暗号資産の申告漏れはいくら?国税庁の税務調査データを参照してください。


e-Taxでの申告手順の概要

  1. 国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
  2. マイナンバーカード + カードリーダー or スマホで認証
  3. 雑所得の欄に損益計算書の数字を入力
  4. 源泉徴収票の内容を入力(給与所得者の場合)
  5. 申告書を送信

e-Taxは無料で使えます。初回のマイナンバーカード設定だけ少し手間がかかりますが、一度設定すると翌年以降は楽になります。


まとめ

確認項目内容
申告が必要なケース年間利益20万円超(給与所得者)
課税区分雑所得(総合課税)
計算方法総平均法が原則
必要書類取引履歴・損益計算書・マイナンバー
提出期限翌年3月15日

申告漏れのリスクと税務調査の実態については暗号資産の申告漏れはいくら?国税庁の税務調査データで詳しく解説しています。

確定申告の具体的な手順(取引履歴の取得からe-Tax提出・納税まで)は暗号資産の確定申告ガイドで一連の流れをまとめています。

エム

暗号資産投資の実体験をベースに、確定申告・税金・損益計算の実務を解説しています。

シェア

関連記事

「2028年まで待てば20%」は本当か?暗号資産分離課税"ぬか喜び"の4論点を利確しない派が整理

2028年施行の暗号資産分離課税は『一律20%』と報じられがちですが、東洋経済オンライン(4/24)では『ぬか喜びになりかねない』と警告。井林辰憲議員が示唆した過去保有分の扱い、業界観測の『対象は2銘柄説』、海外取引所・DeFi・レンディングの除外、申告者1%問題まで、利確しない派が今知っておくべき4つの論点を整理しました。

暗号資産の分離課税、2028年1月施行が『順序どおり』で濃厚──CoinDeskスクープとJVCEA小田氏の動きから読む移行の現在地

2026-04-17のCoinDesk JAPANスクープで、政界関係者が暗号資産の分離課税施行を『2028年1月1日からとなる』と証言。2027年中の前倒し観測は消えた。JVCEA代表・小田玄紀氏のシンクタンク設立と合わせ、移行準備の現在地と『今やっておくべきこと』を整理する。

暗号資産レンディング・ステーキングの報酬、分離課税の対象になる?— 現時点での解釈

2028年からの分離課税は『特定暗号資産の譲渡所得』が対象。レンディング収益やステーキング報酬は譲渡所得ではないため、2028年以降も総合課税(雑所得)のまま残る可能性が高い。PBRレンディングを検討していて気づいたことを整理しました。